Prelude to EpisodeVI=『革命前日』
『革命篇』で起こる事件の前日を描いた、Prelude to EpisodeVI=『革命前日』。その撮影は2010年に入ってから『革命篇』と同時にスタートした。同時期には『野望篇』の撮影も行われていたため、現場は一時的に3作品が同時進行している。このため、主に四係パートの演出を波多野貴文監督が、そして公安・テロリストチームのパートは、『野望篇』チーフ助監督だった田澤裕一が演出することになった。田澤は『革命前日』終了後に、『革命篇』セカンドユニット監督として引き続きメガホンを握っている。
遂に動き出した、謎のテロリストチーム
『革命前日』より登場するテロリストチーム。2009年末のオーディションで選ばれたキャストたちは、年明けから数回の軍事教練を経験、拳銃の構え方から団体行動の所作など、統率された動きを身体に叩き込んだ上で撮影に臨むことになった。
それではここで、テロリストチームのキャストを紹介しておこう。
◯『野望篇』から公安・田中一郎を執拗に追い続ける中里(高橋 努)
◯福井から合流する、菊地(眞島秀和)が率いるチーム。メンバーは船木(やべけんじ)・検見川(スズキジュンペイ)・松永(前田 剛)。
◯新千歳空港から合流する、内藤(板垣雄亮)が率いるチーム。メンバーは菅井(山田伊久磨)・夏川(馬場・場番)・飯田(大口兼悟)・北林(北島康平)。
◯ジムでスパーリングをしていた、東郷(谷田 歩)が率いるチーム。メンバーは伊田(伊方 勝)・椎崎(本郷壮二郎)・平沼(宮平安春)・畑中(四宮勘一)。
彼らがいったいどんな行動を見せるのか?それは『革命篇』で明らかに。
潜入捜査を続ける公安第一課
『野望篇』では住宅地の一般家庭を演じていた田中(野間口徹)・室伏(春田純一)・絹山(村岡希美)・小田(山田キヌヲ)・三井(松本たけひろ)だが、今回は「平和出版」なる雑誌出版社のオフィスを仮の姿として捜査を進めている。このオフィスのセットは竹橋のとあるビルの空きフロアに組まれ、2010年1月16日から2日間撮影が行われている(余談だがこのビルは、『野望篇』でトラックが横転する交差点のすぐ目の前に建っている!)。出版社ということで、デスクのパソコン画面には架空の雑誌の編集データが映し出されており、よーく見るとEpisode IVの舞台となった「永正大学」の広告が出稿されているものも!
そして遂に田中は尾形の出身地・岡山を訪れ、そこで中里に襲撃される事になる。この一連は岡山ロケではなく、東京は足立区の千住曙町近辺で撮影が行われた。襲撃シーンのあまりの迫真の出来に、野間口は思わず「あれは絶対死んでます」とこぼすほど。遂に導火線に火が着いてしまった・・・というところで、物語は『革命篇』へと続く事になる。
初めて描かれる、四係メンバーのプライベート
四係メンバーの休暇が初めて描かれる本エピソード。それぞれのキャラクターの背景や心情がこれまでになく深く描かれるため、それぞれのキャラクターの撮影も時間をかけて行われた。
2010年1月19日。この日撮影されたのは、松尾諭演じる山本の休日。早朝、スタッフはユナイテッドシネマとしまえんに集合。ここはドラマ版Episode Iにも登場する、SPゆかりの映画館である。ここで、ロビーで待ち合わせる山本とその彼女・京子(安藤玉恵)のシーンが撮影された。ちなみに劇場に掲出されているポスターは、すべて美術スタッフが制作した架空のものである。続いては大田区へ移動、ふたりが夕食をとるラーメン店へ。撮影は午前中だったが、店を暗幕で覆って夜の風景を作り出した。この日はさらに広尾へと移動し、夜の公園でトレーニングを行う山本のシーンが撮影され、まる一日かけて山本Dayは終了。
1月27日は、神尾佑演じる石田の休日。別れた妻の香織(春木みさよ)、娘の千花(名波海紅)と石田が待ち合わせるのは日比谷公園。神尾いわく、千花役の名波海紅は控室から公園に向かう間にすっかり懐いてくれたとのこと。待ち時間の間には、まるで本物の親子のようにはしゃぐふたりの姿があった。その後は浅草橋のスタジオへと移動、マンションのベランダで夜空を見上げるシーンをもって石田の撮影が終了。
2月5日は早朝から神宮前にあるスタジオの屋上で、岡田准一演じる井上のマンションのシーン。ちょっと殺風景に飾り付けられた屋上で、朝日を浴びる井上を撮影。2月あたまの真冬の早朝に、薄着で撮影に臨む岡田は、さすがにちょっと寒そう。しかし朝日を見つめるシーンでは、「表情が井上というより本人になってる。もう一回。」「眩しいとは思うけど、眉間にシワがより過ぎ。もう一回。」と、波多野監督は容赦なく映像にこだわり続ける・・・。続いてロケ隊が向かった先は、川崎市の国際交流センター。担当医の森(峯村リエ)との警察病院の精神科診察室のシーンは、ドラマシリーズから引き続きこの場所で行われている。朝はスーツ姿だったが、ここで井上の私服姿に着替えた岡田は、私服だと雰囲気が違ってしまって井上になりきれているか心配だった模様。しかし波多野監督は「大丈夫!ばっちり井上でした!」と太鼓判を押していた。
翌6日には笹本役の真木よう子が合流。オンエア当日のtwitterでも絶大なインパクトを呼んだ、三鷹・春清寺の大仏のシーンを撮影。撮影の相馬大輔によるカメラワークが、その存在感をより際立たせ、モニタをのぞき込んだスタッフたちは口々に「SP史上かつてない強烈な映像だね!」と大盛り上がり。この日は続いて、警察病院の待合室でばったり会う井上と笹本のシーンを撮影。井上がシンクロ症状を起こすカットも撮影されたが、これは『野望篇』と同様にデジタル一眼カメラを使用したカットになっている。(ちなみにこのシーンのどこかに、iPhoneでtweet実況しているSP総務課が写りこんでいるとか?)
2月14日のバレンタインデー。この日はまず、笹本のマンションのシーンが撮影された。そのロケ場所、実は映画『SP』制作会社FILMの編集室。つまり、『野望篇』『革命前日』『革命篇』の編集が行われた部屋とそのベランダを、笹本の部屋に見立てて撮影が行われたのだ。現場では真木よう子からバレンタインのチョコレートがスタッフたちにプレゼントされ、男性スタッフはみんな大喜び(笑)
そして同日深夜には、電車の中での井上と笹本のシーンが撮影された。今回も『野望篇』同様に西武鉄道の全面バックアップで、西武池袋線の終電から始発までの間に特別車両が運行され、小手指駅と池袋駅の間を数回往復しつつ、井上と笹本が電車の中で会話するシーンを撮影。その模様はTwitterでも実況され、いつどこの駅を通過するかをアナウンスしたため、踏切で撮影車両に手を振るファンの姿も。
そしてここで、思わぬハプニングが。イレギュラーな時間に多数の人を乗せた電車を目撃した一般の方が「いま、幽霊電車を目撃したかも・・・」とTwitterに書き込み、これが大量にリツイートされてしまった。それを見つけたTwitter担当のSP総務課がこんなツイートを。「いまtwitter上で、幽霊電車の情報が流れていますが、正体は我々です。西武池袋線の路線上を、映画「SP」撮影用の特別車両をチャーターして運行中!これ、どんどんRTして下さい(笑)」深夜にも関わらずこれが猛烈な勢いでRTされ始め、翌日の午後まで延々と続き、フォロワー数も一気に拡大することに・・・Twitterの面白さをSPチームが改めて実感した一夜となった。
そして堤真一演じる尾形のマンションのシーンは2月10日からの3日間、六本木のデザイナーズマンションで撮影された。まったく生活感がないほどに片付けられてしまったこの部屋にあるのは、クラシック音楽を演奏するオーディオシステムに、パソコンと便せんが置かれたデスクだけだ。ここで尾形はテロリストチームからのメールを待ちつつ、とある人物への手紙をしたためていくという、すべて堤のひとり芝居となった。撮影の合間には例によって?スタッフたちを冗談で和ませつつも、カメラが回り始めた途端に静かな緊張感をたたえる堤。セリフもほとんど存在しない、表情のみで見せる演技で、尾形の感情に視聴者を引き寄せてしまう仕上がりはさすがとしか言い様がないほどだ。『革命前日』本編の最後に、尾形が遂に書き上げる手紙。それは誰に宛てられたものなのか?その手紙の意味するものとは?
2月16日、井上・笹本のバッティングセンターのシーンが、世田谷スポーツプラザにて撮影された。この現場には山本役の松尾諭もかけつけ、『SP』らしくない?にぎやかなシーンをさらに盛り上げていた。そして、やはり『SP』はここに戻るのが運命なのか?現場は横浜・開港広場へ。ここで『革命前日』ラスト近くの井上のシンクロシーンが撮影され、四係の休日をめぐる一連のシーンの撮影は終了。キャスト陣はいよいよ本格的に『革命篇』の撮影へと移行していった。



